舞台写真家 菊池宜将

福岡を拠点に、バレエやダンスなどの舞台写真撮影を行っています。
2002年に舞台撮影や映像制作を専門とする父の会社に入社したことがきっかけで写真の世界に入りました。以来24年間、舞台撮影の現場で経験を積み、2020年よりAz Creaとして独立して活動しています。
写真の世界に入った経緯
もともとカメラには全く興味がありませんでした。10代の頃は飲食店で働いていて、料理の道に進もうと本気で考えていたくらいです。
ある日、写真や映像制作の会社を経営していた父から「一緒に働いてみないか」と声をかけられました。カメラなんて触ったこともありませんでしたが、「とりあえずやってみよう」という気持ちで飛び込んだのが始まりです。
フィルム時代に叩き込まれた基礎
入社した当時はまだフィルムカメラが主流の時代でした。
今のデジタルカメラのように、撮ったその場でモニターを確認することはできません。ピントが合っているか、露出は適正か、表情はどうか。すべては現像が仕上がるまで確認できない世界です。
フィルムには枚数の制限があるので、1枚シャッターを切るたびにコストがかかります。失敗すればそのまま無駄になる。「見て覚えろ」が当たりの時代の現場で、先輩カメラマンの立ち位置や光の読み方を必死で盗みながら、撮影の基礎を身につけていきました。
現像室で仕上がったネガを確認する時の緊張感は、今でもよく覚えています。
デジタル全盛の現在、シャッターを何千回でも切ることは技術的に可能です。しかし私は今でも、フィルム時代と同じ感覚で1回1回のシャッターに向き合っています。「数を打てば当たる」のではなく、「この瞬間を確実に捉える」という集中力。それはフィルム時代の経験があったからこそ身についたものだと感じています。
舞台撮影との出会い
父の会社は舞台撮影や映像制作をメインにしていました。
初めて仕事としてバレエの公演を撮影した時のことは、はっきりと覚えています。客席の照明が落ち、音楽が始まり、踊り手が舞台に現れる。指先から足先まで神経が行き届いた動き、跳躍の高さ、身体全体を使った表現。ファインダー越しに見たその世界に、強く引き込まれました。
「この瞬間を撮りたい」と心から思えたのは、それが初めてのことでした。
そこから舞台写真、特にバレエの撮影に夢中になりました。舞台写真は特殊なジャンルです。踊り手の動きを事前に予測すること、シーンによって変化する照明への対応、そして何より音楽や作品の構成を理解していないと撮影のタイミングが掴めません。踊り手が最も美しく見える瞬間はいつなのか、振付のどこに見せ場があるのか。
まだYouTubeもスマートフォンもなかった時代、関連する書籍を読み漁り、何度も舞台に足を運び、音楽を繰り返し聴き込みました。「もっと良い写真を撮りたい」という一心で、気づけば24年が経っていました。
撮影で大切にしていること
舞台に立つお一人おひとりにとって、本番は「一度きり」の時間です。失敗してもやり直しはできませんし、全く同じメンバーで、再び同じ舞台に立つことはないでしょう。ファインダーを覗くカメラマンにとっても、それは同じです。舞台撮影は常に「撮り直しのきかない世界」です。
私が撮影の中で最も意識しているのは、踊り手との間で生まれる「言葉のない駆け引き」です。踊り手の動きやエネルギーをファインダー越しに感じ取りながら、「今だ」というタイミングでシャッターを切る。その感覚は、これまでの現場経験の中で少しずつ磨かれてきたものです。
ありがたいことに、お客様からは「上手に踊れているように見える写真ですね」と言っていただけることがよくあります。教室の生徒さんたちはほとんどがプロではありませんから、当然お一人おひとり技術の差はあります。だからこそ、その方が一番上手に踊れている瞬間を見逃さないように撮ることを、常に心がけています。
私が記録するのは、本番のステージだけではありません。
楽屋で友達と笑い合っている姿。出番前に舞台袖で静かに集中している横顔。袖から生徒たちのステージをじっと見守る先生のまなざし。すべてが終わった後の、ほっとした表情。
発表会や公演は、その日一日全体がひとつの出来事です。何ヶ月もかけて準備してきたその日のすべてを、舞台の上だけでなく舞台裏も含めて残しておきたいと考えています。後から写真を見返した時に、その日の空気感まで思い出していただけるような撮影が、私の目指すところです。
撮影に対する考え方
お客様が求めているのは、カメラマンの自己表現ではなく、出演者の皆様が何ヶ月も練習を重ねてきた成果を、最も美しく正確に記録した写真です。自分の作品を撮りに行くのではなく、お客様にとって価値のある写真をお届けすること。それがプロとしての仕事だと考えています。
その上で、他の人が見落とすような細かい部分にまで目を配ることには、強いこだわりを持っています。たとえば、舞台袖の何気ない一瞬や、終演後にお客様が想像もしていなかったカットが写真の中にあった時、「こんな写真まで撮ってくれていたんですね」と言っていただけることがあります。そう言ってもらえると、とても嬉しい気持ちになります。
対応可能な撮影
- バレエ発表会・公演・コンクール
- ジャズダンス、フラメンコ、日本舞踊、フラダンスなど各種舞踊
- 演奏会・ライブ
- プログラム用の顔写真(教室・スタジオへの出張撮影)
- プロフィール写真・宣材写真
- オーディション提出用写真
福岡県内を中心に、全国への出張撮影に対応しております。
少人数のおさらい会から大規模な公演まで、規模を問わずお受けしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
菊池 宜将(きくち よしまさ)
1983年生まれ / 福岡県出身
舞台写真家 / Az Crea 代表